すっかり狂っている。加速しすぎている。
朝から父は絶好調。大声で母を追いかけ回し、北朝鮮拉致と政権を大声で、大声で、大興奮をしてまくしたてる。
わたしの頭が狂えばいいとおもう。
朝食後、音楽を身体が崩れそうになるほど大音量で耳に流し込む。掃除をして、音楽をやめる。身体は殴っていない。今日はなにもできない。立っている。立って、うちわであおぐ。窓の外にたくさんの蟻がいて、はじめは見ていたが、多すぎて、蟻の意図もわからず、やがて冷凍スプレーをかける。かけても、蟻は溶けて動きはじめる。かわいそうで、たくさんスプレーをかけた。よみがえった蟻はまたよみがえって、巣に帰り、虐殺の地を知らせるのか。
壁に向いて瞑想のような形になる。すこし落ち着く。
立ってあおぐ。
わけのわからないものをそのままにしておくことができない。
9時横になる。すこんと眠る。起きられなくなる。学生の頃のようだ! 何度も目が覚めては、身体がまったく動かせない。金縛りというか、全身麻酔のなかで覚醒しているよう。身動きがとれずおそろしい。起きるぞ、起きれる、もう、わたしは、起きる… 右手にうちわの取っ手が握られていることが、何度も何度も、かんじられた。
そうして閉じ込められてしまい、閉じ込めたのは自分自身なのだった。
10時にがむしゃらに起きる。
ある日すべては回復することが約束されているかのように、生きたらいい。
加速しすぎてはならない。
眠りなさい!
なにをしようとしていた。
・事務の勉強(隔週に毎日1時間半)
・簿記の資格試験(毎朝2時間)
・英語の勉強(すきまの時間)
・精神疾患の読書(月1冊、日に1時間)
・愛着障害の読書(2週間に1冊)
・物語読書(そのほかの時間に毎日)
・岩波文庫と自然科学の読書(隔週交代で月に1冊ずつ)
不安で仕方がなかったのは、10月から働こうと決めたが、求人先が決められないでいたからだろう。どこにも働けない気がするのだ。そもそも、わたしは働けないのではないか! つまり、死にそうになってしまう… なぜ、当然のこととして働けないのだろう。偶然でもいい、適当でもいい。なぜかたくなにつぶれてしまうのだろう。もっと気楽にしたらいいのだ。だめならやめればいい… 「だめ」となると、たぶん簡単には…
そもそも来春のつもりだったではないか。冬季に短期のアルバイトをして、春からは前職を働くのではなかったか。それが…リズムを崩してしまった。なぜか。冬や春の未来が不安すぎて、早送りしてしまおうとした。耐えられなかったのだ。どんなに自信がなくても、信じてやらねばならない。それができなかった。そして加速した。加速したら、濃密になり、英語の勉強などをはじめてしまう…
異常に多くのことをしてしまう。
でも今日は眠ってしまった。麻酔がかかった。わたしは人間精神病薬になったのか。セルフ投与。狂ったわたしを眠りに落とす!
成長したとかんじることもある。たとえばこういった加速して、メモがとんでもなくなり、わけがわからなくなり、氾濫し、眠らなくなり、身体を殴るしかないときに、なにもしないことをするようになったところは、成長だとおもう。なにもしない。立って、あおぐたけ。本も読まない。メモも見ない。ただ、立って、あおいで、窓の外を見て、壁を見る。
すずめは集団になると1個の知性体のように見える。からすが4羽並んで止まっている。
母が、「弟の同級生が、妻と赤ちゃんをつれて歩いていた。もちろん、妻と赤ちゃんがいたら生きていけないから、実家で暮らしているのだろう」と言う。とても素直に、当然として言う。実は、わたしは、驚いてしまう。将来は、跡を継ぐのだから、弟が実家に戻るだろうとはおもっていた。しかし、結婚して子どもを産んですぐ実家で二世帯の暮らしがはじまるとは、考えたこともなかった!
紙に書きたかったが、まとまりそうになく、べつに入力をする。わたしであることをわたしが受け入れる。簡単ではない。
できないことをしなければならなかった。
…
来春はアルバイトをはじめる。
昨夜散歩をしながら面接官と話をしていた。「就職が決まらないままいてばかりではいけないですし、社会勉強だとおもって、3年間アルバイトをすることに決めました。そのあいだに、勉強も…」
頭の中にまだ簿記がある。
暑い。
父は、自分が好きなものは、人類が好きである、と考える。自分が好きなものは身体にもよくて、その身体というのは、全人類の身体である。
こういうふうに人間は思考する。父にとっては、自分の意見以外の意見は愚言であり、正しくもない。父にとっては、わたしのすべては異常行動だ。
まだ簿記がある。
だって、努力しなくちゃ、いけないはずだった。