つよく生きているか

2019〜2020のくらむせかい,くらむの日記

7月27日土曜日

昨夜、口の中が記憶している。歯医者の記憶が口の中に充満し、振動と鋭い音と、痛みと、硬直と鳥肌をかんじる。
夜は眠れる。すさまじい悪夢を見る。細かく、込み入り、衝撃と暴露と隠蔽と死と死がある。
・仲間の男がメモしているものを見て、ある女が血相を変える。メモには大量に「捨て子」の文字がある。わたしはとっさに、「この前読んだ本に影響されてるんでしょ」と男をからかうことで、彼が彼女を捜査していることを隠そうとする。場所は図書館の駐車場で、建物からはひとがつぎつぎと出ていく。白いボックスがあり、わたしと男はべつべつにさりげなく入り、女に伝わってしまったことなどを話し合う。危機的状況。しかしすぐにもっとたいへんなことになる。男が乗り物で帰ろうとしていて、わたしもそれを見送ろうとしているが、周囲が一気に騒がしくなる。また恐ろしいことが起きたということだ。
はぴが見える。愕然とする。こんなにもはっきり見えてしまうのか。わたしは虚脱し、それから撫でる。受け入れてからは手放せない。
べつの男かもしれない。男が学校の上階の音楽室のような部屋に見つかる。わたしはひとりで見つけた。男はとても悲しんでいる。
中年の女が3人の男の子をつれて現れる。ピクニックに来たのだ。のり巻きなどをたくさんもっている。わたしは男が見つからないように祈りながら、彼女たちといっしょにすごす。中年の女は気づいているようでもある。男の子のひとりがぱたりと倒れている。わたしは慌てて駆け寄る。また死だ! わたしは小さな背中を叩く。こうすればよいと聞いていた。中年の女が叫び、男の子の口からは血と食べ物が出始める。それでも叩きつづける。そうしなければ死しかない。エレベーターでみなで階下に降りる。捜査本部のようなものがあり、医師もいて、男の子はそちらへ渡す。中年の女が、「あの男はいいひとなのかもしれない。あの女の子はあの男といて、よくなるのかもしれない」と言う。やはり知っていて、口には出さなかっ
たのだ。男はこの部屋のどこかにいるようだった。悲劇は告白される。わたしははぴを抱く。
どんな悲劇だったのか。
おそらく、あのはじめの女と、メモを書いていた男と、わたしと、学校に隠れていた悲しむ男は、わたし自身なのだろう。
女は2世代つづく境界例に育っている。目の前で親には自殺され、彼女はとてもかわいいし、まともに見える。だが奥には境界例がすさまじい力で存在している。彼女が、悲劇を起こしつづけている。
メモを書いていた男と、わたしは、突き止めようとしている。純真さがある。だがそれらは無防備で、周囲を予測せず、結果として、さらなる決定的な悲劇を作り出してしまう。
悲しむ男は、とても悲しんでいる。といってもほとんど感情は見えない。無表情だがそうしているだけで優しく微笑んでいるように見える男は、音楽室のような防音の部屋にいて、緩慢に存在する。内部では強烈な絶望と罪悪感があるものの、それとともに自分を部屋に隠すことで、時を止めようとしている。自分の時も、悲劇の時も。
そしてわたしは、はじめはメモの男とともにいて、つぎには女の様子に気づき、悲しむ男とともにいて、最後は本部にいる。場面が変わるたびに、わたしもなだらかに変わる。変わるものをはぴがまとめ、つなぐ。
中年の女と子どもたちは、4人と比べて異質な、現実にありふれた存在である。他人であることの力強さがある。彼女たちの動きや感情は、わたしの外側にある。わたしから独立している。
捜査本部の中にはたくさんのひとがいた。ざわざわとしていた。みな、わたしに属しておらず、わたしが彼らの在る場所に、加わる。そのときの心細さ、圧倒感そして、罪悪感と安堵感のようなものを、はぴが整理する。わたしの存在をずっしりと落ち着ける。

自分の身を守ること。
・できません
・受け入れられません
・やめてください

自分の身の丈であること。
・たすけてください
・わかりません
・ゆるしてください

セブンイレブンを検索すると、研修期間はばらばら(短い期間で詰め込まれて、放置されるのか?)、病欠をした場合に代わりの人を見つけなかったことで罰金を払う、とある。

病欠の仕方がわからない。
そもそも仕事の内容にも自信がない。できるのか。
人間関係にも自信がない。どのわたしで、どのように振る舞うべきか。
身体にも自信がない。病気になるだろう。
頭にも自信がない。壊れるだろう。まずは眠れなくなり、呼吸ができなくなり、苛立ち、なにも手につかず、気づいたらすでに字が読めなくなっていて…それなのに、弱音を吐けない。
期待にも自信がない。振りきれないが、応えることもできない。

結局のところ、わたしはできない。
そして、できないことをしなければならない。

「おれの教え方がうまかったから、隣のクラスは50点でみなできなかったが、おれのところはオール90点。おれ以外の人間は研究せず勉強せず、努力せず、押し付けるだけだ」
「高校生は遠距離通学ができる(もちろん大人も!)」

胸がなにか言っている。なあに。なあに。

重度身体障害者の就職活動のニュースを見る。「いまは両親に養ってもらっているけれど、いつまでもそうすることはできないから。…就職します、させてください」

母「したくなくても、食べていくためには働かなければならない」
父「1日なさざるは、1日食うべからず」