つよく生きているか

2019〜2020のくらむせかい,くらむの日記

8月2日金曜日

わたしは父とおなじになってしまった。ものを買えなくなったのだ。よいように考えることはいくらでもできる。しかし事実のうちのひとつは、怖がって、お金を払い、ものを買うという行為から、逃避している。そうでなければ、こんなふうにかんじないだろう。こんなふうに?

もうひとつは、家族に見捨てられたくないからだ。「本を買う? 働いてもいない分際で? そんな贅沢をするような悪い子のことはもう知りません」
大人になりたいなあ。精神的にしっかりしたい。自分が、自分に必要だとおもうことを信じて求めたい。他人は、「走れるでしょ」と言う。その通りで、わたしは走れる。走り出す。けれど途中で倒れてしまう。わたしはわたしを信じて、走りきれないわたしを信じて、歩きたい。歩ききれるわたしを信じたい。
大人になるということは、自分の必要を力強く信じられることではないだろうか。わたしは信じきれないでいる。もしかしたら、みなの言うように、「だれでも走りきれる」のではないかとおもっている。

昨日は、スーパーの食肉売り場で鶏肉を見ているときに、はぴに会いたくなって、涙が込み上げてきた。はぴは鶏肉が好きだった。はぴ用に味付けをしなかった鶏肉を分けてあげると、わたしを見上げながら食べた。鶏肉に夢中になりながらも、わたしから目を離さなかった。まるで、「これおいしいね!」って、言っているみたいに。おいしいね。おいしいね。
もっと、話せばよかった。はぴと、もっと、話せばよかった。

本くらい注文すればいいじゃない。
本くらい読まなければいいじゃない。
本くらいてきとうに読めばいいじゃない。

本を買わないことで、なにかを許されようとしている自分を、受け止めきれない。けれど、振り払うこともできない。わたしは弱いから。だめなの。
わたしはだめだなあ。定まっていない。

仕事のことが不透明になってから、安心したのか、気が抜けたのか、正直、「あの仕事はわたしには難しすぎる」と確信するにいたる。責任が大きすぎるし、ひとりぽっちだ。安心ができないし、頭がついていかないだろう。字も読めなくなるかもしれない。混乱して、なにもかもをとても難しくかんじるだろう。目に見えている。それでも、できることになれば、がんばってみようとおもう。10年つづくわけではない。母が言うように、「勉強」だとおもって、何年間かだ、がんばってみよう。そのあとのことは、ゆっくり決めればいい。
勉強といっても、就職みたいなものなのだろう。
気を詰めないことだ。
わたしがすること。働くこと。無駄遣いをしないこと。お金の使い方と貯金の仕方を安定させること。できれば、食べて眠ること。心を支えること。わたしがわたしの心を支えて、すこしおとなになること。心を支えるためには、わたしが強くならねばならない。強くなるためには、知らなければならない。

たぶん、本を買わないことは、わたしには易しいことだ。ここにいれば、黙っていれば、すくなくとも、傷つかないですむ。行動したら、そこには責任が伴う。わたしはそんな責任を負えない。だが、負うべきだろう。
強くなることと、弱さを受け入れることの均衡は、黙って座っていても、見つからないだろう。

どうなのかな。わからない。
なにもかも、ほんとうはわからない。もう混乱しているのだ。混乱していなかったときなどなかっただろう?
わたしはずっと混乱していた。過覚醒。

家族にどうおもわれるかは大切だ。家族なのだから。

力強く生きて…

みな死んでしまうね。

均衡を見つけること。

昼のニュース番組を見るたびに、「わたしはモンスターじゃない」と心の中でおもう。だが、わたしはやはりモンスターなのだろうか。そうもおもう。おもわされるというか…
わたしはモンスターだから、本を買うなんて、わるいことを、するのかもしれない。
心が薄暗くなる。他人の評価に吸い寄せられる。モンスターだと言われれば、モンスターになる。感情が離れていく。わたしから離れていく。そして他人になる。他人が意図したものでわたしが構成された。

午前中、パソコンを取り出して、立ち上げ、本を調べて、カートに入れた。あとすこしだった。やめる。怖いからだ。

こんなことを繰り返して、他人はぐんぐん進んで、あらたな言葉とまなざしで、あらたな感情をぶつけてくる。四方に撒き散らしてくる。わたしも、現実のどこかに存在しているかぎり、他人の感情をかぶることになる。立ち止まって、隠れていても、他人の放射は強くて、わたしを見つけ出してしまう。

わたしはモンスターだろうか。そうかもしれない。わたしは働いていないし、他人と言葉やしぐさのやり取りもできていない。だれの役にたつわけでもない。だれにも知られないように生きようとして、だれかに知られてしまっている。
わたしは他人を殺しているし、殺したこともある。
他人を憎むこともあった、求めたこともあった、うらやんで、泣いたことも、幸せを願ったこともあった。
わたしが生きたことで、なにか、現実にとってプラスになったことはあったかもしれない。しかし、マイナスと比べると、どうなるだろう。そして、わたしがしたことは、だれにでもできたことだ。わたしがいなければ、だれかがしたことだ。よいことがよいのだとすれば、わたしは存在しなかったほうがよかっただろう、わたし以外のものにとっては。わたしにとっては、わたし以外に代わりはいないから、そうは言えないだけのことだ。

覚悟さえ決めれば、努力さえつづければ、わたしも他人のようになれるという。ほんとうだろうか。
わたしのこれまでの人生はなんだったのだろう。惰性と逃避だったのか。ほんとうだろうか。

しんどくなっている。
しんどくなんてならないでいい。

難しく考えるからよくないのではないか。たとえば、ある程度の収入を得ることとか、家族と暮らすこととか、本を読むこととか、知ることとか、そんなことを考えているから、難しすぎるのではないか。
もっと、簡単に考えてしまったらどうか。就職する、それだけ。

生きるって、夢見ることだろうか。(就職)
それとも、目を醒ますことだろうか。(身の丈)

わたしはモンスターだろうか。
わたしはモンスターではないと言えるだろうか。

わたしは捨てられるだろうか。
わたしは嫌われるだろうか。
わたしは嫌われて、死を願われるだろうか。

疲れてしまった。
「好き放題したから、孤独死しても当然」だろうか。
せいせい、するだろうか。

わたしは愛されているだろうか。
わたしは愛されたことがあっただろうか。

わたしは愛しただろうか。
わたしは愛せていただろうか。

幸せなひとが、あんなふうに振る舞うはずはない。とおもうが、ほんとうのところはわからない。今度のことでわかったことは、「真実はひとの数だけある」ということだ。わたしが死んだら、わたしのもつ真実は失われて、にどと、存在しなくなる。

本…

疲れてしまった。
モンスターなのだろう。
そう、きっとわたしはモンスターなのだ。

求められたことはない。完璧なものしか受け入れられなかっただけだ。

本を買って読んできたことはよいことだったと考えている。成長したとかんじているから。視野が広くなり、以前よりも、人生に対処できている気がする。
それならば、読めばいいではないか。
しかし、完璧なものであれば、本など買わず、読まず、無欲に働き、金を稼ぎ、口を開かないはすだ。
わたしは完璧になりたい。
完璧なものだけが愛されるからだ。

そうだろうか。
わたしは甘く見ているだろうか。
なにを。わからない。

わからない。
わからなくても生き…

人生はいつだって終りうる。
本を買わなかったことを、自分に誇るだろうか。
それとも、読まなかったことを、後悔するだろうか。
努力とはなんだろうか。行動とはなんだろうか。だれが答えを知っているのだろう。

どちらに我慢すればよいのだろうか。本を読まないことか、本を買うことか。

何度でも考えればいい。迷って保留にすればいい。そのうち死んでしまうよ。

覚悟を決めて生きていくことができないのだとおもう。だれも、なにも、わたしの覚悟を待ちはしない。心細くてしかたがない。心細くてしかたがない。わたしはわたしを保てない。

強くなりたい。父の言うように努力をして、べつの人間になりたい。母の言うように足ることを知り、日々を生きたい。強くなりたい。弱くなりたい。受け入れたい。あきらめたい。満ちたい。手放したい。解離したい。ぶつかりたい。変わりたい。変わりたくない。あたらしい人間になりたい。そんなものになれっこない。働きたい。

人間になりたい。
どうすれば人間になれたのだろう。

前にも同じことを残したが、ここに残されたものは、わたしのほんの一部でしかない。そしてその一部が、ときにわたしのすべてになる。わたしの過覚醒は外部にだけではなく、内部思考にも向いている。言葉にならないものがある。もっとも重く、脆く、ぬぐいようのないものは、けして言葉にならない。また、わたしの中にあっても、言葉にされていないものも多い。たとえば感謝や、…

弟のアマゾンの箱を、父が見ている。

わたしは完璧しか受け入れない姿勢を受け継いだ。
わたしはわたしを受け入れていないみたいだ。

わたしは弱い。
わたしは醜い。
わたしは愚か。
わたしは…

傲慢。強欲。停滞。回避。パニック。…

わたしの一部が、わたしを信じている。
わたしの優しさや、強さや、回復力と適応を、まだ信じている。

わたしは強くなれるだろうか。
弱さを受け入れて、強くなれるだろうか。

どの道を歩けばいいのかわからない。以前歩いていた道は、猫が死んだ。ほかにどの道を歩けばいいのだろう。新しい道を歩くと…偽物のようなかんじがする。わたしがいなくて、道もなくて、時間もない。なにもなくなる。あるのに。歩いているのに。

情とはなにだろうか。

生きられたらいいなとおもう。出勤して、働いて、家に帰って…。ふつうのひとみたいに。鞄を持って、歩いて…。
わたしは、望みすぎだろうか。
呼吸ができて、字が読めて、眠れて、食べられて…。家族と暮らせていることがどんなにうれしいことか。

台風が発生した。
台風が進んでいる。

わからない。
わたしはずれている。
もうずっとずれてしまっていて、わからない。